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春日太一の「雪中行軍な人生」

時代劇・日本映画・テレビドラマなどの研究家・春日太一のブログです。

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最近の「時代劇報道」に思うこと

先日のNHK「クローズアップ現代」で「京都の時代劇事情」みたいなのを伝えてましたね。

スタジオゲストの山田洋次監督のお話にはいくつか鋭い御指摘もありましたが、
番組自体は総じては「衰退しまくりで未来のない高齢者向け産業」みたいな捉え方。
完全なネガティブ報道で腹が立ちました。

自分も少しは取材に協力してしまったことを激しく後悔しております。
嫌な予感がして途中で降りたのですが、
その嫌な予感が的中してしまいました。

「水戸黄門」終了報道以降、各マスコミで時代劇のことが取り上げられましたが、
まあ、みんな大体そんな感じの伝え方でしたね。
なんかもう、思い込みというか固定観念だけというか。

マスコミの皆様。
時代劇に関して記事・番組を作られる際は、
せめて最低限の歴史くらいはご自分で調べられてください。
そうすれば、
「勧善懲悪のワンパターン」「高齢者向け」「古臭い」
のが時代劇の特徴の本質でないのはお分かりいただけると思いますので。

とりあえず、あの番組をキッカケに思うところを勢い任せでツイッターに書き込んだので、
こちらにまとめてコピペしておきます。

~~~~

「水戸黄門」終了以降、大手メディアがこぞって「時代劇の現状」を取り上げるようになったけど。ほとんどが通りいっぺんの思い込みを垂れ流しているだけで、きちんと問題点を整理した分析が全くないのには正直、失望した。 via Keitai Web
2012.01.12 13:41

 「ジャンルとしての時代劇」「テレビの中での時代劇」「映画としての時代劇」「京都での時代劇製作」。重なり絡み合っているけど、実はそれぞれの本質的問題点は別個にある。それを精査せず、思い込みだけで上っ面をなぞるだけだから、薄っぺらい論考になる。 via Keitai Web
2012.01.12 13:49

 少し考えれば分かることなのに、時代劇というだけで思考停止に陥り固定観念しかなくなってしまう。大手メディアは全く時代劇のことなんて本気で考えてない。それだけは改めて痛感できた半年間。 via Keitai Web
2012.01.12 13:51

 新聞記者もテレビ局のディレクターも少しでもジャーナリストとしての気概があるのなら安っぽいノスタルジーに逃げるんじゃねえっつうの。 via Keitai Web
2012.01.12 13:54

 奴らにとっては枠を埋めるネタの一つに過ぎないかもしれないけど、そこに人生を賭けてる人間もいるんだ。ただの興味本意で邪魔しないでくれ。影響力がないぶん、ネット番長たちの方がまだマシだ。 via Keitai Web
2012.01.12 13:56

 中途半端な取り上げで誤解を振りまくくらいなら、なにもせん方がエエ! via Keitai Web
2012.01.12 14:01

 自分を苦しめてきた時代劇に対する偏見と差別の実体を見させていただきましたよ、ええ。 via Keitai Web
2012.01.12 14:15

 時代劇の歴史ってその大半は「新しい表現の開拓の歴史」なわけで。長く続いた一部の番組だけの印象で「勧善懲悪」「ワンパターン」「年寄り向け」だの、イイ加減なレッテルを貼らないでほしい。メディアで時代劇を取り上げる人は最低限「伊藤大輔」「黒澤明」「五社英雄」くらいは知っておいてほしい。 via ついっぷる/twipple
2012.01.12 18:15

 まだキチンと検証したことではないけど。ある時点で時代劇の表現の開拓は止まり、過去の再利用になっていった。そこには作り手側の甘えも多分にあったように思える。「テレビ局が枠を保証してくれている」ことへの甘え。小手先の工夫はあっても、「現代」と正面から向き合う作り手はどれだけいたのか。 via ついっぷる/twipple
2012.01.12 18:31

NHKのDから「スタジオゲストには時代劇に通じた大物文化人を呼びたい。誰かふさわしい人を知らないか」と聞かれたので、その段階で「ああ、専門家による分析・解説を交える気はないのね」と落胆したけど、とりあえず山田洋次監督・能村庸一P・杉田成道監督のお三方を推薦させていただいた。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 01:11

取材開始当初からNHKの態度・姿勢には不満があったけど、「全国放送で流されることで少しでも太秦の宣伝になれば」と思って協力した。ただ、あまりに不遜だったんで途中で協力を絶った。取材時は「十分に戦える力がることを紹介してほしい」と何度も釘をさしたんだけど、まあ、自分が甘かった。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 01:25

山田洋次監督の「国の支援が必要」という発言に批判が多かったようだけど。「作りたい人」「見たい人」は多いけど「金を出したい人」が少ないのが問題という現状を考えれば、行政が間に入るしか時代劇の製作状況を正常化させる道はないように思う。もちろんそれは旧来型のバラマキでは意味はないが。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 09:50

大事なのは「支援」といっても「文化としての保護」じゃなくて「産業としての振興」。「文化として保護」しちゃうと「年寄り向け衰退産業」というレッテルを恒久化させるだけ。具体的な方策は昨年、既に京都市には伝えたけど。とにかく誤解に基づいた思い込みで勝手に滅ぼされるのは阻止せんと。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 09:59

支援のし方が酷かったせいというのもありますけどね。甘やかし型支援で腐らせてきた RT @katsudobenshi: 日本は国の支援に対するアレルギー反応が妙に強いですよね。独立独歩の精神は大事ですが、諸外国のように、国民が国を利用して何が悪い、くらいの意識も同時に欲しい所です。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 10:05

自分としては時代劇は「古典芸能」では全くなく「現在進行系のエンターテイメント」。だからこそ、こんな現状だからこそ、作り手たちにはもっとシッカリしてもらいたい。先人たちの育んできた「時代劇」という豊かに発想を羽ばたかせることのできる表現手段を、世間のレッテルから解放するためにも。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 10:58

それにしても。取材を受ける際、「時代劇のこと、何も分からないから教えてください」と平然と言ってくる記者やDだらけだったのには驚いた。恥ずかしくないのだろうか。「ここまで調べましたが、こことここが分からないので教えてください」が普通な気もするが、自分がおかしいのかな。 via ついっぷる/twipple
2012.01.13 13:00

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仲代さんインタビュー連載、ついに最終回。

大好評をいただいておりましたPHP「Voice」の連載 「仲代達矢が語る昭和映画史」は,
1月10日発売の二月号で連載最終回となります。
当初から全6回の短期連載という枠組みでしたので、致し方ないことなのですが・・・。

最終回は「小林正樹の栄光と挫折」と題し、
第二回の『人間の條件』でも取り上げました小林正樹監督のその後になります。

『切腹』での仲代さんと三國連太郎さんとの壮絶な演技合戦の裏側、
あるいは宮島義勇カメラマンの凝りに凝ったカメラワーク、
そして当時29歳の仲代さんがいかにしてあの中年男の役作りをしたのか。
ヴィスコンティの『山猫』と激突したカンヌ映画祭でのエピソードも。

そして。
小林正樹はなぜ表舞台から突如として去り、
そして晩年をいかに過ごしたのか。
仲代さんへの遺言とは?

余すとこなく語っていただきました。

最後には嬉しい告知もあります。

よろしくお願い申し上げます。

一年の計

昨年は、なんとか一年を乗り切ることができました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

元旦は過ぎてしまいましたが、
この一年の計をば。

ここ十年はとにかく前のめりで生きてきました。
とにかくチャンスをつかむことにひたすら必死で。
そのチャンスをようやくつかむことができた現在、
少しギアチェンジをしておく必要がある気がしています。

つまり、今度はモノにしたチャンスをより確かなものにする時期なのかと。

昨年、予定していた本の執筆がほとんど進まず、
また原稿のクオリティにも必ずしも納得がいかなったことへの反省もあります。

なので。
今年は前のめりから脱却し、じっくり腰を据えて作品づくりにかかりたく思います。

キーワードは「安定」。

仕事も精神状況も生活環境も、これまでのようなカオスではなく、
安定したものにしていけたらな、と。
(新年早々、心を千路に乱れさせまくっておりますが・・・)

そいういう訳で、今年も一年、よろしくお願い申し上げます。

~~~~~
なお、1月の主な告知は以下の通りです。

10日前後:「仲代達矢が語る昭和映画史」連載最終回(PHP「VOICE」)
21日前後:「井上昭監督インタビュー」(文藝春秋「オール讀物」)
25日前後:「私選・大河ドラマベスト5」(洋泉社新書「私が愛した大河ドラマ」)

どうぞよろしく!

ここ十年の大河ドラマの検証

前からの歴史劇のファンの方で、
「最近の大河ドラマはちょっとな・・・」
と思われる方は少なくないと思います。

12月21日発売の「オール読物」新年号に書かせていただきました
「大河ドラマ50年」
という記事は、まさにそういう方に向けのものでもあります。

「ここ10年の大河への違和感」の正体はなんなのか。
そのことについての検証です。

大河はいつ、なぜ、どのように変化したのか、
自分なりに客観的に分析してみました。

これを読んだら大河ドラマの話題を肴に酒を飲みたくるかと。

ぜひぜひ、よろしくお願いいたします。

仏の喜八

 PHPの月刊誌「Voice」にて好評短期集中連載中の
「仲代達矢が語る昭和映画史」。

1月号掲載の第五回は
「仏の喜八と過ごした日々」と題し、
仲代さんと岡本喜八監督の友情エピソードを縦軸に、
小林桂樹・丹波哲郎も登場。
「沖縄決戦」撮影中の両者の物凄い対決なんかも登場します。

稀代のアクション監督の魅力的な人となりを是非ご堪能ください。

発売は12月10日。
こうご期待。

五社監督と仲代達矢さん

そういえば、バタバタし過ぎていて更新を忘れていました。
とりあえず告知です。

PHP『Voice』にて大好評連載の「仲代達矢が語る昭和映画史」ですが。

ただいま発売中の第4回は「五社監督と情念の役者たち」になります。

「御用金」「出所祝い」「鬼龍院花子の生涯」などの撮影エピソードを通して語られる、
仲代さんの盟友・五社英雄監督の凄まじい演出術と、
萬屋錦之介・安藤昇・岩下志麻・夏目雅子といった役者たちの熱さ・・・・。
たっぷりと語っております。
自分の最も好きな監督のことを最も好きな役者が語っているだけに、
我ながら書いていて楽しくて仕方なかったです。

「五社さんはイタリア人」と仰る仲代さん。
そのココロとは?

ぜひ御覧くださいませ!

講演in八女(福岡)!

福岡県久留米でディレクターをしている大学院時代の友人の招きで、
11月13日(日)14時より、八女の土橋市場にて講演をします。

詳細は以下のリンクをご参照ください。

http://d.hatena.ne.jp/ARIGATO0814/20111024/1319431509


「時代劇と町おこし」をテーマに話をさせていただこうかと。

入場料は無料ですので、
お近くの方はふるってご参加を。
ぜひともよろしくお願いいたします。
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職業:
著述業
自己紹介:
時代劇・日本映画・テレビドラマの研究家です。

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