時代劇・日本映画・テレビドラマなどの研究家・春日太一のブログです。
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間違いなく多くの時代劇ファン、勝新太郎ファンが手ぐすねを引いて悪口を言おうとしている映画について、
「勝新太郎の評伝を書いた時代劇研究家」が感想を書くのは勇気がいる。
でも、あえて書きたい。
この映画を見ての自分の想いはあまりに極私的なもの。
おそらく共感を得られにくいものだろうし、
この文章自体、全く理解できない内容になっているかもしれない。
正直、この気持ちをどう表現すればイイか分からないというのもある。
いろいろと考え過ぎた挙句の、ある種の妄想みたいなものかもしれない。
それでも、伝えたい。
以下に記すのは、映画『座頭市 the LAST』を見ての偽らざる全ての気持ちだ。
~~
この映画は過去20年に製作された時代劇映画の中では最高クラスの作品だと思う。
映画を見ている途中から涙が止まらなくなっていた。
パンフに原稿を書くから、そんなことを言ってるのではない。
正直な話、悪く言おうと思えばいくらでも悪く言える。
特に脚本は酷く、いまどきは素人でも書かないレベル。
突っ込み所は満載だ。
手ぐすねを引いている方々には格好のネタになることだろう。
でも。
そんなことはどうでもいい。
そう思わせるだけの、
酷い脚本を補って余りあるスタッフたちの時代劇への愛が、
画面からあふれ出ている。
時代劇だけでなく日本の映画、テレビドラマ全体から失われつつある「現場力」をヒシヒシと感じた。
この現場にいる人間は時代劇を知っている。
時代劇を愛している。
その愛が、画面からビンビンに放たれたいた。
しかも、その愛はマニアの独りよがりなものではなく、
プロフェッショナリズムの中にキチンと昇華されている。
最近の時代劇は、映像が汚いか、ツルッとしているかのどちらかで、
情感や艶というものが全くないのがほとんど。
それが嫌でしかたなかった。
本作はそこが違う。
土の匂い、木の匂い、水の匂い、そして肥溜の匂い・・・
「古き良き時代劇」の匂いが画面から伝わってくる。
勝新太郎、そして座頭市を生み、育てた大映京都の「手作りの質感」がそこにあった。
それはまるで、無謀な戦いに挑む男たちを助けるべく、
勝新太郎がかつての仲間たちを天から遣わしたようでもある。
キッチリと落ち着いたカメラワークは牧浦地志、
貧しさを照らし出す照明は中岡源権、
細部まで作りこまれた生活感あふれる美術は内藤昭・・・
勝と現場を共にしてきた、今は亡きレジェンド職人たちの仕事が、
見事に再現されている。
私の大好きな大映時代劇のシルエットが、画面一杯に映し出されていた。
もうそれだけで、お腹いっぱいの幸せな気分を味わえた。
良い意味で「21世紀の映像」には見えなかった。
とにかく最近の時代劇の画面に見られがちな安っぽさや小手先のエフェクトがまるで無い。
書かれていること、とてもよくわかります。
いきなり、ぶしつけで申し訳ないのですが。
貴方の文章も初めて目にしたのですが。
どうやら、貴方の感性は私と似ているようです。
今日さっそく貴方の書かれた本を書店で探します。
ぜひとも拙著をヨロシク。
初めまして。
映画にエキストラで出た者です。
昨年 亡くなった母がロケのあった所の生まれで映画が来ると
聞いた時に希望を出しました。
自分が幼い頃に両親と行った海・・・。其処に初めて立ちロケを行った
時には、自然と涙が溢れました。例え1秒でも映っていなくても
其処に居られた事が一生の思い出となりました。病床の母にも報告
しました。出来る事なら、生きていて観て欲しかったです。
監督さん、スタッフさん 本当に寒さの中 集中され映画を作り上げる
素晴しさを痛感しました。初めて此処にお邪魔して試写会の感想を
読んで感動し、早く公開の日が来ないかな~と切望しています。
自分を含め、沢山の人の思いが一杯詰まった映画と思いますので
私も皆さんに観て頂きたいと思います。
素晴しい感想に感謝致します。有り難う御座いました。
私も本買って読みますね♪
時代劇チャンネルのおかげで 市川雷蔵のファンになり、録画して 何度も繰り返しみてます。 最近の時代劇って 子どもの頃に見たのと なんか違うって思ってたのですが 理由がわかりました。 薄っぺらかったのですね。 コメントを読んで ぜひ観に行きたくなりました。 土の匂い草の匂い、肥溜の匂いを感じてきます。
今日、座頭市TheLast見ました。とても感動したので、酷評は聞きたくないなあと思いながら、拝見しました。
評価がいいのも嬉しかったですが、読んでいて気持ちのいい文章でした。
個人的には、水戸黄門的なラストがよかったのですが、映像、役者さん本当に感動しました。世界中の人に見て欲しいです。
初めまして。pataと申します。
今日、座頭市見てきました。
久々に映画を見て泣きました。
座頭市関係の画像を探して、こちらのブログに辿りつきました。
映画にも感動しましたが、こちらの管理人様のレビューにも感動致しました。
クールで端正な読みやすい文章から、映画への温かな眼差しが伝わってきます。
また、こちらのブログに立ち寄らせていただきます。
ありがとうございました。
読んでいて涙がでてきました。
香取ファンですが、去年からいろいろな、ある意味”むちゃ振り”に淡々と今できる事を真摯に精一杯やっている彼を見てきました。
彼は100%以上の力を出して、でき得る限りの事をやったと思います。
色眼鏡をかけず、それを正当に評価してくださる方がいてほんとに嬉しかった。
ありがとうございます。
脚本をはじめ、つっこみどころはたくさんありますが、これはこれでいろんなことを考えさせられる映画であったと思います。
初めまして。
ある方がブログで「感動した!」と仰っていたので拝見いたしました。
私も読んでいて感動で涙が出てきてしまいました。
無知な私にも映画に対しての気持ちが伝わってきました。
正当な目線で評価してくださっているのが嬉しいです。
なかなか時間とれずまだ観れていなかったのですが
必ず映画館に行きます!
ありがとうございました。
良かったです 様々な年代の俳優さんが一丸となって迫ってきました。もう画面の中に引き込まれて最後は40のおっさんが一人で泣いてしましました。真面目に精一杯作られた映画は人を引き込んでその世界に連れて行ってくれます。今回実感しました
正直、慎吾クンには期待せず阪本監督が撮ったという事で観ましたが、多々ある色々な突っ込み所なんて、どうでもよくなる位の映画愛に溢れた作品で、良く出来てたと思います。新旧役者さん達も皆、適材適所で違和感なく良い演技してましたし
仲代さんの一人浮くくらいの圧倒的な存在感も、人間くさい生活感溢れるドラマの中でのスパイスとして上手く効いていましたし 何より、皆で良い物を作ろうという一体感が伝わって心地良かった。この現場の空気感を作り上げていた事に、さすがは阪本監督だと嬉しくなりました。良い作品でした。
馬鹿なこと書いてんじゃねえカス野郎