仲代達矢さん主演「俺たちは天使じゃない」。
平幹二朗さん主演「王女メディア」。
今の日本演劇界の二大名優のお芝居をこの二ヶ月のうちに両方観ることができた。
若い頃のイメージだと「剛の仲代、柔の平」という感じだけど、
今はそれが逆になっている。
仲代さんのお芝居は驚くくらいの柔。
まるで軟体動物かのように柔らかく、動きと表情が千変万化する。
とにかくお茶目かつユーモラスな演技で、
客席を爆笑の渦に巻き込んでいく。
ここにきて完全に新境地を切り開いたといえる。
役者としての幅の広さ、引き出しの多さに改めて感嘆する。
一方の平さんは、ひたすら剛。
毒々しいまでの狂気・妖気を研ぎ澄ましていて、
他を寄せ付けない恐怖感すら漂う。
この世のものとは思えない・・・
・・・のだが、その感情はどこまでもストレートにぶつかってくる。
二人とも、共通していることがある。
それは今の自分自身を限界まで高めて、
観客にガチンコの勝負を挑んでいる・・・ということ。
そこには「名優」としての名声に対する甘えも驕りも微塵もない。
「現役の役者」としての矜持とプライドが、
80歳を越えてもなお新たな姿を観客に呈示する姿勢を生み出している。
「むかし凄かった役者」ではなく「今も凄い役者」。
求道者。この言葉がこれほど似合う役者は、
今の日本でこのお二人をおいていないだろう。
どちらも、ただいま全国公演中。
絶対にライブで触れておくべき。
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